2020年5月に発刊しました。わずかばかりですが、売り上げが出たようです。ご購入下さった方に感謝申し上げます。
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売り上げはオウム事件の被害者の方へお届けします。償いは12人が望んでもできなかったことですから、ささやかに代行するつもりです。
引き続き、教材などにご活用いただけると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
2018年7月、オウム真理教の信者死刑囚12名が処刑されました。事件の記憶はおぼろになっても、死刑執行は私たちに大きなインパクトを与えました。
処刑された信者は、どんな人たちだったのか。なぜ、そんな事件に手を染めてしまったのか。
犠牲者を覚えるとともに、処刑された彼らがどんな人たちだったかも、考えていただけませんか?なぜなら、彼らは元々、人を傷つけたり、殺めたりするような人間ではなかったからです。あの悲劇は、なぜ起ってしまったのか。再び悲劇を起こさないために、私たちに何ができるか。そう考えることが、被害者も加害者も生み出さないことにつながると、筆者は信じています。
筆者はカルト経験者でした。ふとしたきっかけでオウム裁判を傍聴することになり、法廷の柵の向こうのオウム信者を見つめて来ました。18年の時を経て彼らが処刑されたとき、筆者は被害者支援を学んだ心理専門職になっていました。被害者と加害者の狭間で考えたこと、処刑された信者のご遺族のこと、信者自身の人生…。大きな苦しみと悲しみを前に、グリーフワークを紡ぎました。
事件や死刑囚について、何か新しいことを書いた本ではありません。これはルポルタージュや評論ではなく、こころについて考え、感じていただく本です。彼らの人生を見つめ、そこから何かを感じ、考えていただける方に、ぜひ、ともに集うお席をご用意できればと思います。あなたも一緒に、彼らのことを考えてくださいませんか?彼らを憶え、感じていただけませんか?
若い人にも、そんなに興味がない人にも、死刑囚に嫌悪を抱く人にも手に取っていただきやすい、コーヒー一杯分のお値段にしました。学校の教材として使っていただけたら、とてもありがたく思います。私たちが悲劇を繰り返さぬために、彼らの遺志を、願いを、ともに考えていただけませんか?
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<目次>
はじめに
オウム真理教とは?
なぜ、私は12人に目をむけたのか
I.井上くんのこと―オウムではなかったカルト経験者が見たオウム裁判
プロローグ/エピローグ
1.井上くんのこと
2.被害者と加害者の狭間で
3.心理鑑定、カルト・カウンセリング、 そして論告求刑へ
4.死刑求刑、最終弁論
5.判決
II.死刑執行の衝撃とグリーフ
裁判傍聴、その後
刑場へのグリーフ1:あなたを信じた12人が、命を落としました。
刑場へのグリーフ2:おさなご
加害と被害の狭間で―彼らが思ったであろうこと
12人への追悼歌
終わりに
III.解説:人はどのようにカルトに引き込まれるのか
カルトに入ろうとして入る人はいない
所属欲求を満たす
少しずつ姿を変える
組織による違い
カルト当事者は見えない
カルト現象の自覚しにくさ
カルトの内実は一様ではない
葛藤はどう扱われるか
“見えないもの”で支配し、囲う
脱会
アイヒマン実験
直感と危機回避
急激な変化がもたらしたもの
見透かされる感覚の怖さ
確かめられないものに縛られる
身体感覚による操作
入り口と出口を閉じる
希望をもって健全な警戒を
筆者紹介
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筆者:時流 Jill(公認心理師・臨床心理士)
「時流Jill」は、『輪廻転生を信じたオウム信者と信じない私は、異なる時間の観念を生きていた。しかし、私たちは確実に同じ時を生きていた』という意味でつけたもの